★★ 『コドモのコドモ』
2010年7月8日http://book.freefla.net/
★★ 『コドモのコドモ』
2008年。「コドモのコドモ」製作委員会
荻生田宏治監督。
小学5年生の女の子が妊娠・出産を経験する、という『JUNO/ ジュノ』
をさらに過激にしたような内容に、子を持つ親になった経験もなければ、誰かを妊娠させた経験もない(はずの)者としては、それほど興味を抱いたわけではなかったが、
出演している俳優(実際は麻生久美子と谷村美月が出ているから見ただけのこと)のキャスティングに面白さがあったので、見てみたら、
『JUNO/ ジュノ』とは目指すものがちょっと違った映画だった。
正直なところは、特に何も思うことのない映画だった。
小学生がクラスメイトの妊娠を大人たちには秘密にして、小学生だけで出産まで成功させるクライマックスの場面には、手際の良い共同作業になっていて、ちょっと感銘を受けたが、現実的に考えれば日本ではあり得ない話だと思われるので、この場面は果たしてどうなのか、と奇妙な感覚もあった。
監督は『神童』
という、大したことはなさそうで、妙にさえたショットが所々にある映画の演出家として知っていたが、この映画にも、さえているようで、収拾がついていないままに放り出されたようなシーンがあって、
ひょっとしたら後年、傑作として評価される映画になるのかも知れない、という予感がかすかに感じられた。
賛否両論を巻き起こすことを前提にして製作されているようだが、子を持つ親ではないということもあってか、子どもたちの共同での出産に向かっての連帯と、子どもたちだけの理想の共同体が出現する瞬間を見て、子どもたちを応援する気分になったので、
現実にもこうなるだろうと思われるPTAの臨時集会のシーンでは、固定観念にとらわれた大人たちをマシンガンで皆殺しにするショットを入れてもらいたいような腹立たしい気分になったりもした。
しかし、それほど感情を揺さぶられたわけではなく、何かまとまりが良くない(そういう狙いで作ってあるのかも知れない)ところに、中途半端さと理解しずらさを感じた映画だった。
公式サイト
クラスメイトの子どもたちは、児童劇団ぽい演技をする子どもも何人かはいたが、全体にリアルで、素晴らしく現代的な小学生象を作り出していた。
主人公の甘利はるなという新人女優がお子さま過ぎてむかつく面も含めて、かなり素晴らしい演技を見せていたので、映画を好ましい印象のものにすることに最大の貢献をしていた、ように見えた。
教育について理想を抱いて子どもたちに接しようとするが、空回りで父兄からも生徒からも嫌われてしまう残念な教師を麻生久美子が、なかなかリアルに(こんな教師は現実にはいそうにないが)演じていた。
お母さん役専門女優になったかのような宮崎美子だったが、確かにお母さんぽいので多用されるのだろう。しかし、最近思い浮かぶだけでも、『シャッター』
、『デトロイト・メタル・シティ』
、『きみの友だち』
などでお母さん役を演じていた。ちょっと多すぎる。他にお母さんを演じるにふさわしい女優がいないのだろうか。
チョイ役ながら、すでに大人の女優としての風格さえ感じられるようになった谷村美月はどんどん素晴らしい女優になってきた。教頭先生役の塩見三省もみょうに印象に残った。
光石研、柄本佑、北見敏之などいろいろな映画で数多く見かける俳優も手堅く映画を引き締める。上野樹里は意味不明な配役だった。祖父を演じる榎木兵衛は、『その土曜日、7時58分』
でのアルバート・フィニーに匹敵するような本当にわけがわかっていないのではないか、とも見える怪演技で面白かった。
『気球クラブ、その後』
以来、あちこちで見かけるようになった深水元基も出番は少なかったが好演を見せた。
★★ 『コドモのコドモ』
2008年。「コドモのコドモ」製作委員会
荻生田宏治監督。
小学5年生の女の子が妊娠・出産を経験する、という『JUNO/ ジュノ』
をさらに過激にしたような内容に、子を持つ親になった経験もなければ、誰かを妊娠させた経験もない(はずの)者としては、それほど興味を抱いたわけではなかったが、
出演している俳優(実際は麻生久美子と谷村美月が出ているから見ただけのこと)のキャスティングに面白さがあったので、見てみたら、
『JUNO/ ジュノ』とは目指すものがちょっと違った映画だった。
正直なところは、特に何も思うことのない映画だった。
小学生がクラスメイトの妊娠を大人たちには秘密にして、小学生だけで出産まで成功させるクライマックスの場面には、手際の良い共同作業になっていて、ちょっと感銘を受けたが、現実的に考えれば日本ではあり得ない話だと思われるので、この場面は果たしてどうなのか、と奇妙な感覚もあった。
監督は『神童』
という、大したことはなさそうで、妙にさえたショットが所々にある映画の演出家として知っていたが、この映画にも、さえているようで、収拾がついていないままに放り出されたようなシーンがあって、
ひょっとしたら後年、傑作として評価される映画になるのかも知れない、という予感がかすかに感じられた。
賛否両論を巻き起こすことを前提にして製作されているようだが、子を持つ親ではないということもあってか、子どもたちの共同での出産に向かっての連帯と、子どもたちだけの理想の共同体が出現する瞬間を見て、子どもたちを応援する気分になったので、
現実にもこうなるだろうと思われるPTAの臨時集会のシーンでは、固定観念にとらわれた大人たちをマシンガンで皆殺しにするショットを入れてもらいたいような腹立たしい気分になったりもした。
しかし、それほど感情を揺さぶられたわけではなく、何かまとまりが良くない(そういう狙いで作ってあるのかも知れない)ところに、中途半端さと理解しずらさを感じた映画だった。
公式サイト
クラスメイトの子どもたちは、児童劇団ぽい演技をする子どもも何人かはいたが、全体にリアルで、素晴らしく現代的な小学生象を作り出していた。
主人公の甘利はるなという新人女優がお子さま過ぎてむかつく面も含めて、かなり素晴らしい演技を見せていたので、映画を好ましい印象のものにすることに最大の貢献をしていた、ように見えた。
教育について理想を抱いて子どもたちに接しようとするが、空回りで父兄からも生徒からも嫌われてしまう残念な教師を麻生久美子が、なかなかリアルに(こんな教師は現実にはいそうにないが)演じていた。
お母さん役専門女優になったかのような宮崎美子だったが、確かにお母さんぽいので多用されるのだろう。しかし、最近思い浮かぶだけでも、『シャッター』
、『デトロイト・メタル・シティ』
、『きみの友だち』
などでお母さん役を演じていた。ちょっと多すぎる。他にお母さんを演じるにふさわしい女優がいないのだろうか。
チョイ役ながら、すでに大人の女優としての風格さえ感じられるようになった谷村美月はどんどん素晴らしい女優になってきた。教頭先生役の塩見三省もみょうに印象に残った。
光石研、柄本佑、北見敏之などいろいろな映画で数多く見かける俳優も手堅く映画を引き締める。上野樹里は意味不明な配役だった。祖父を演じる榎木兵衛は、『その土曜日、7時58分』
でのアルバート・フィニーに匹敵するような本当にわけがわかっていないのではないか、とも見える怪演技で面白かった。
『気球クラブ、その後』
以来、あちこちで見かけるようになった深水元基も出番は少なかったが好演を見せた。
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